まわりの音が録音に混ざっているとき — 原因と対処
10 dB と 15 dB — この判定にだけ、境界が 2 つあります。
声とまわりの音の差が 15 dB を下回ると、画面の上に「まわりの音が混ざっている」の帯が出ます。10 dB を下回ると、そこからもう 1 段進みます — [5] 録れ方の判定 の 4 項目が全部止まり、「判定できません」の行が並びます。
帯のほうは読めても、並んでいるほうで手が止まります。なぜ「まわりの音」が、まわりの音と関係のなさそうな項目まで止めるのか — この 1 問がこのページの中心です。
画面にはこう出ています
まわりの音が混ざっている この録音では、声とまわりの音の差が
{SNR}dB でした(15 dB 以上あると聞き取りやすくなります)。まわりの音がマイクに一緒に入っている状態です。
差が 10 dB を下回っていると、これに続いて次の行が並びます。
まわりの音が帯域比を汚染しているため、判定できません。
差が 10〜15 dB のときは、判定は出たうえで次の行が付きます。
声とまわりの音の差が
{SNR}dB(10〜15 dB)のため、声の判定の信頼度を下げています。
なぜ他の項目まで測れなくなるのか
当サイトの声の判定は、4 つとも「帯域どうしの比」だからです。
比を出すには、分子の帯域にも分母の帯域にも声の成分だけが入っている必要があります。まわりの音は、どの帯域にも同じ量ずつ入るわけではありません。空調は低い側に、ファンは中域に、屋外の音は広く入ります。分子と分母に別々の量が足し込まれるので、出てくる比は声の比ではなくなります。
差が十分にあるうちは、足し込まれた分が比を動かす幅は小さく収まります。当サイトはその境目を 2 段に分けています。
何を測ってこの判定が出ているか
見ているのは 声とまわりの音の差です。当サイトの内部では SNR と呼んでいます。
8 つの判定のうち、この項目だけが「差」です。 他は比か、絶対レベルか、周波数です。差は「声の側が、まわりの音より何 dB 大きいか」であって、どちらか一方の大きさではありません。
| 差の値 | 当サイトの扱い |
|---|---|
| 15 dB 以上 | この判定は出ません |
| 10 dB 以上 15 dB 未満 | 「まわりの音が混ざっている」が出ます。声の判定は出しますが、信頼度を下げて表示します |
| 10 dB 未満 | 「まわりの音が混ざっている」が出ます。声の 4 項目は全部「判定できません」になります |
境界が 2 段あるのは、8 つの判定の中でこの項目だけです。 他は「越えたら出る」の 1 段しかありません。2 段になっているのは、この量が自分の判定を出すと同時に、他の項目を出してよいかどうかも決めているからです。
まわりの音はどこから入っているか
上流から並べます。この項目に限っては、いちばん上流が「マイクの外」にあります。
- 音の出どころそのもの。 空調・扇風機・PC の冷却ファン・洗濯機・窓の外。止められる音があるなら、それがいちばん上流です。
- 出どころとマイクの距離。 止められないときは、マイクを出どころから遠ざけるか、間に体を入れます。
- 口とマイクの距離。 近づけると声の側だけが上がるので、差そのものが変わります。
- 入力ゲイン。 ここでは差は動きません。声もまわりの音も同じだけ上がるからです。
- ノイズ抑制。 削る処理です(→ 下記)。
試す順番
- 止められる音を止めて、測り直す。 空調を一度切る、窓を閉める、PC の負荷を下げてファンを静かにする。1 つ止めるごとに測ると、どれが効いていたのかが差の数字で分かります。
- マイクを口に近づけて、差を稼ぐ。 声の側だけが上がるので、
{SNR}は大きくなる方向に動きます。 - ここまでで足りなければ、ノイズ抑制を使う。
[2]の OBS 欄に、必要な分だけの抑制量が出ています。
3 が最後である理由: まわりの音を削る処理は、2〜4 kHz の帯を一緒に削ることがあります。 その帯は言葉を聞き分ける手がかりが集まっている場所なので、削りすぎると今度は「こもりがちに録れている」の側へ動きます。 だから当サイトは、下げる量を必要な分だけ算出して出しています。 設定の既定値のまま強く掛けるより、算出した量を入れるほうが、削られる範囲が狭く済みます。 → 録音がこもりがちに録れているとき
変えても動かなかったとき
| 状態 | 次にできること |
|---|---|
| 音の出どころを止められない(共有スペース・屋外) | マイクを口に近づけて差を稼ぐ側に寄せます。当サイトは特定の製品を推奨しませんが、指向性の強いマイクほど、正面以外から届く音を拾う量は減ります |
| 近づけたら、今度は低い側がふくらんだ | 録音の低い側がふくらんでいるとき |
| 近づけたのに差が変わらない | まわりの音が口元からも届いています(同じ机の上にある機器など)。マイクではなく機器の位置を動かします |
| 差は取れたのに、一部の項目だけ測れないままである | 一部の項目だけ「判定できません」と出たとき |
一緒に出やすい判定
このページは、他の判定を出せなくする側にいます。 他のページの「この判定が出せなくなる条件」に並んでいる行のうち、まわりの音を理由にしているものは、全部このページを指しています。
- こもりがちに録れている — 差が 10 dB 未満だと、2〜4 kHz と 0.1〜1 kHz の比が出せません → こもりがち
- 低音がふくらんでいる — 同じ理由で、200〜500 Hz と 1〜5 kHz の比が出せません → 低い側
- サ行が目立っている — 同じ理由で、5〜8 kHz と 1〜4 kHz の比が出せません → サ行
- 息の音が一緒に入っている — 同じ理由。この項目はもともと信頼度が最も低い側に固定されています → 息の音
声がマイクまで届いていない判定とは、同時に出やすい組み合わせです。 入力が小さいということは声の側が小さいということなので、差も取りにくくなります。ただし直し方は共通で、口とマイクの距離です。 → 声がマイクまで届いていないとき
高い音が録音に残っていない判定も、他を出せなくする側にいます。ただし性質が違います。 まわりの音は帯域の中身を汚し、帯域の欠落は帯域そのものを無くします。 汚れは差を稼げばその場で減りますが、欠落は録り直すまで戻りません。 → 高い音が録音に残っていないとき
この判定で言えないこと
- 15 dB / 10 dB という 2 つの境界は、いまのところ仮の値です。 実測による較正は今後の課題として残っています。
- これは部屋についての評価ではありません。 測っているのは「この録音の中で、声とまわりの音がどれだけ離れていたか」です。静かな部屋でも、マイクが口から遠ければ差は縮みます。逆に、音のある部屋でも口元にマイクがあれば差は取れます。
- まわりの音の正体を、当サイトは判別していません。 空調なのか、ファンなのか、人の話し声なのかは測っていません。差の大きさだけを見ています。
- ノイズ抑制の値は目安です。 削られる範囲は処理の作りによって変わるので、お使いの環境での保証値ではありません。
- 当サイトはマイクと録音の状態を測るツールです。医学的な判断や助言は行いません。→ 免責事項
もう一度測る
音の出どころを 1 つだけ止めて、もう一度測ってください。1 回に 1 つずつ止めると、どの音が差を縮めていたのかが数字で分かります。
→ いまの状態を測る