録音がこもりがちに録れているとき — 原因と対処
通話や会議で「こもって聞こえる」と言われた。
その状態で測ると、画面には 2 つの言い方が同時に出ます。[5] 録れ方の判定 の「当たりのやわらかい録れ方」と、[2] 対処 の「こもりがちに録れている」です。
この 2 つは、同じ 1 つの測定値です。 測っているのは、人が言葉を聞き分けるのに使っている帯域(2〜4 kHz)が、それより低い帯域に対してどれだけ残っているか。まず、その 1 点から書きます。
画面にはこう出ています
同じ測定値が、2 つの節に別の言い方で出ます。
[5] 録れ方の判定 側:
この録音では 2〜4 kHz が 0.1〜1 kHz に対して
{PRES}と控えめで、当たりのやわらかい録れ方です。 長く流し続ける読み上げや、聞き流す用途と噛み合う傾向です。 ただし言葉を聞き分ける手がかりは 2〜4 kHz に集まっているので、そのぶん聞き取りにくくなる方向です。
[2] 対処 側:
こもりがちに録れている この録音では 2〜4 kHz が 0.1〜1 kHz に対して
{PRES}でした。人が言葉を聞き分ける手がかりは、この帯域に集まっています。
▸ マイクの正面に寄せて測り直し、次にノイズ抑制の ON / OFF の差分を確かめる 見込み幅: 置き方の見直しで 2〜4 kHz が +2〜4 dB 程度戻る可能性があります。ノイズ抑制が原因だった場合は、OFF にした差分としてさらに現れます
この 2 つは矛盾していません。 当サイトは 1 つの測定値について、その録れ方が向いている用途と、直したいときの手順を、別々の節に分けて出しています。[5] は前者、[2] は後者を担当します。同じ数字を、違う目的で 2 回名指ししています。
何を測ってこの判定が出ているか
見ているのは 2〜4 kHz と 0.1〜1 kHz のエネルギーの比です。当サイトの内部では PRES と呼んでいます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 分子 | 2〜4 kHz。子音の識別に使われる手がかりが集まる帯域 |
| 分母 | 0.1〜1 kHz。母音の基音と第 1 フォルマントを含む帯域 |
| 判定の境界 | −24.0 dB 以下。この比がこれを下回ると「こもりがちに録れている」が出ます |
| 信頼度 | この項目は当サイトの 4 項目のうち、信頼度の上限がいちばん高い側の 2 つに入ります |
比であることが重要です。 2〜4 kHz の絶対的な量が少ないのではなく、0.1〜1 kHz に対して相対的に少ないことを見ています。したがって、録音全体の音量を上げてもこの判定は変わりません。 つまみを回して直せる項目ではない、というのがこの測定の答えです。
この判定が出せなくなる条件
次のいずれかに当てはまると、この項目そのものが「判定できません」になります。
- 5 kHz より上が録音に残っていないとき(→ 高い音が録音に残っていないとき)
- 声とまわりの音の差が 10 dB 未満のとき。まわりの音が帯域の比を汚してしまうためです(→ まわりの音が録音に混ざっているとき)
- 声とまわりの音の差が 10〜15 dB のときは、判定は出しますが信頼度を下げて表示します
なぜ 2〜4 kHz が痩せるのか
原因を上流から並べます。この判定は、当サイトで唯一「置き方」と「ブラウザの設定」の両方にまたがる項目です。
- マイクの軸から外れていること。 指向性のあるマイクは、軸を外すと高い帯域から先に落ちます。 低い帯域は回り込むので残ります。結果として、低い側だけが残った音になります。
- 口を覆うもの。 マスク・手・机の天板の反射なども、同じ向きに働きます。
- ノイズ抑制。 まわりの音を削る処理は、同じ帯域を巻き込むことがあります。
[4] このブラウザの音声処理に、この録音時点でノイズ抑制が ON だったか OFF だったかが出ています。 - 接続方式。 ワイヤレスのハンズフリー接続では、そもそも高い側が残っていないことがあります。この場合は上の「判定が出せなくなる条件」に該当します。
1 を先に見るのは、そちらが上流だからです。 ノイズ抑制を切っても置き方が悪ければ 2〜4 kHz は戻りませんが、置き方を直すとノイズ抑制の影響も同時に小さくなります。
試す順番
この 2 つを同時に変えないでください。 差分が読めなくなります。
- マイクの正面に寄せて、測り直す。 口とマイクを結ぶ線が、マイクの正面(軸)に乗るようにします。置き方の見直しで 2〜4 kHz が +2〜4 dB 程度戻ることがあります。
- 1 で変わらなければ、ノイズ抑制を OFF にして、もう一度測る。
[4]の 3 つの設定のうち、ノイズ抑制だけを切り替えます。 当サイトは切り替え前後の差分を表示するので、この項目がノイズ抑制で動いたかどうかがその場で分かります。 - 2 で戻ったなら、原因はノイズ抑制側です。 通話ソフト側にも同じ処理が入っていることがあるので、そちらも確かめてください。
- どちらでも戻らなければ、機材側の特性です。
[2]の OBS 欄に、中域を持ち上げる設定の目安が出ています。
4 の目安について: OBS の
3-Band Equalizer(帯ごとに上げ下げする)は中域が 800〜5000 Hz とひとまとまりで、狙った 2〜4 kHz より広い範囲が動きます。 だから当サイトはこれを「目安」として出しており、確定値としては出していません。削ったり足したりして直すのは、置き方を直しても残ったときの手段です。
変えても動かなかったとき
| 確かめること | 見る場所 | 次に読むページ |
|---|---|---|
| 高い側がそもそも残っているか | [5] に「判定できません」が並んでいないか | 高い音が録音に残っていないとき |
| 低い側が同時にふくらんでいないか(両方立つのは正常です) | [5] の低い側の項目 | 録音の低い側がふくらんでいるとき |
| まわりの音が比を汚していないか | [2] の帯 | まわりの音が録音に混ざっているとき |
| 一部の項目だけ測れないと出ていないか | [5] | 一部の項目だけ「判定できません」と出たとき |
一緒に出やすい判定
低い側がふくらんでいる判定と同時に立つのは、正常な出力です。 2 つは別々の帯域の比を見ているので、同時に成立します。ただし対処は逆向き(片方は離す、片方は寄せる)になるため、当サイトは 2 枚を出す代わりに、試す順番を決めた 1 枚に畳んでいます。 まず 20〜25 cm まで離して測り直し、変わらなければ 15 cm まで近づけて測り直す、という順序です。 → 録音の低い側がふくらんでいるとき
サ行が目立つ判定とは、逆の向きに出ます。 サ行の判定が見ているのは 5〜8 kHz と 1〜4 kHz の比で、こちらとは分母も分子も違います。片方が立っているからといって、もう片方が立たないわけではありません。 → サ行が目立って録れているとき
この判定で言えないこと
- −24.0 dB という境界は、いまのところ仮の値です。 実測による較正は今後の課題として残っています。
- これは録音の周波数の配分についての判定です。 話し方や発声についての判定ではありません。当サイトが測っているのは、マイクとブラウザを通ったあとの音です。
- 「聞き取りにくくなる方向」は、2〜4 kHz が言葉の識別に使われる帯域であることから導いた向きの話です。聞き手にどう聞こえるかを測ってはいません。
- 見込み幅の「+2〜4 dB 程度」は、置き方を直したときの一般的な範囲であって、保証値ではありません。
- 当サイトはマイクと録音の状態を測るツールです。医学的な判断や助言は行いません。→ 免責事項
もう一度測る
マイクの向きだけを変えて、もう一度測ってください。ノイズ抑制の切り替えは、その次です。1 回に 1 つだけ変えると、どちらが効いたのかが読めます。
→ いまの状態を測る
関連するページ
- 音質パターン一覧 — 10 種類の判定の索引
- このブラウザの音声処理 —
[4]で 3 つの設定の申告値と実際の差分を表示しています - このサイトについて / 免責事項