VoiceLoupe マイクとブラウザの設定を測る

録音の低い側がふくらんでいるとき — 原因と対処

「低い響きに厚みのある録れ方です」— [5] 録れ方の判定。「マイクを口元から 20〜25 cm まで離し…」— [2] 対処。

同じ 1 回の測定で、この 2 つが同時に出ます。矛盾ではありません。 当サイトは 1 つの測定値を、向いている用途と直したいときの手順の 2 か所で名指ししています。

では距離はどちら向きに動かすのか。答えは「離す」です。 その根拠を、測っている量のほうから示します。

画面にはこう出ています

[5] 録れ方の判定 側:

この録音では 200〜500 Hz が 1〜5 kHz に対して {TILT} と大きく出て、低い響きに厚みのある録れ方です。 落ち着いた語りや朗読、ナレーションと噛み合う傾向です。 ただし低い側が乗るぶん、2〜4 kHz の子音は覆われて埋もれやすくなります。

[2] 対処 側:

低音がふくらんでいる この録音では 200〜500 Hz が 1〜5 kHz に対して {TILT} でした。その分だけ 2〜4 kHz が覆い隠されています。

▸ マイクを口元から 20〜25 cm まで離し、15〜30 度オフアクシスに置く 見込み幅: 200〜500 Hz が数 dB 下がり、TILT が境界の内側に戻る可能性があります(距離を 2 倍にしたときの一般的な範囲)

褒められているのか、直せと言われているのか

どちらでもありません。当サイトは録音の合否を出していないからです。

[5] が書いているのは「この配分だと、どういう用途と噛み合うか」です。低い側が乗った録音は、落ち着いた語りや朗読と噛み合う方向に出ます。 [2] が書いているのは「この配分を戻したいなら、どこから触るか」です。

したがって、通話や会議で言葉を届けたいなら [2] の手順に意味があり、朗読やナレーションを録っているなら、いまの配分のままにしておく判断もあります。どちらを選ぶかは用途で決まるので、測定値の側では決まりません。 当サイトが 2 つの節に分けて出しているのは、この選択を読む側に残すためです。

何を測ってこの判定が出ているか

見ているのは 200〜500 Hz と 1〜5 kHz のエネルギーの比です。当サイトの内部では TILT と呼んでいます。

項目値
分子200〜500 Hz。母音の基音とその周辺で、部屋の反射も乗りやすい帯域
分母1〜5 kHz。子音の識別に使われる帯域を含む、広めの基準
判定の境界+14.0 dB 以上。この比がこれを上回ると「低音がふくらんでいる」が出ます
単位dB。比を dB で表した数であって、200〜500 Hz の音量そのものではありません

この判定は、録音全体の音量では動きません。 分子と分母が同じだけ上下するからです。OS の入力音量のつまみを回しても、[4] このブラウザの音声処理 の 3 つの設定を切り替えても、この比はほとんど動きません。3 つとも、200〜500 Hz と 1〜5 kHz の比を狙って動かす処理ではないためです。

動くのは距離です。 それがこの項目の答えであり、[2] の 1 手目が距離である理由です。

この判定が出せなくなる条件

なぜ低い側だけがふくらむのか

原因を上流から並べます。この項目は、当サイトの 8 つの判定のうち、距離への依存がいちばん素直に出るものです。

  1. 口とマイクが近すぎること。 指向性のあるマイクは、音源に近づくほど低い帯だけが持ち上がります。上がるのが低い側だけなので、比がそのまま動きます。
  2. 机の天板や壁の反射。 低い音は回り込みやすく、硬い面で戻ってきます。マイクを机に直接置いていると、この分が乗ります。
  3. マイクの取り付け。 スタンドを介さずに机へ置くと、キーボードや机の振動が構造を伝わって同じ帯域に乗ります。
  4. ブラウザの 3 つの設定。 ここはほとんど関係しません(上記)。

1 と 2 の切り分けは、距離を変えたときの動き方で付きます。 離して比が戻れば 1、離しても残れば 2 か 3 です。

試す順番

1 回に 1 つだけ変えてください。

  1. 口元から 20〜25 cm まで離して、測り直す。 これが 1 手目である理由は、いちばん上流で、費用が 0 だからです。
  2. 口の正面から 15〜30 度ずらす。 離した分を正面で稼ぎ直すと息が当たるので、角度で逃がします。
  3. マイクを机から浮かせる。 スタンドやアームを使い、天板との間に距離を作ります。
  4. ここまでで残ったときだけ、80 Hz より下を削る処理を足す。

★この 4 手目に、当サイトは OBS の設定値を出していません。 OBS の標準フィルターに「80 Hz より下だけを削る」処理が無いためです。3-Band Equalizer(帯ごとに上げ下げする)の Low は 800 Hz より下がひとまとまりで、これで代用すると声の芯の帯まで一緒に痩せます。当サイトは、近い値で代用させる案内をしません。

4 が最後である理由: 80 Hz より下を削るのは録れてしまった低い側を削る手であって、録り方を変える手ではありません。 削る処理は、残しておきたい成分も一緒に削ります。 距離で戻る状態を削って直すと、次に離して録ったときには低い側が薄いままになります。 当サイトが 1 手目に距離を出し、削る手を 4 手目に置いているのは、この順でしか差分が読めないためです。

変えても動かなかったとき

確かめること見る場所次に読むページ
離した結果、入力そのものが小さくなっていないか[3] 入力レベル声がマイクまで届いていないとき
2〜4 kHz の側も同時に痩せていないか[5] の中高域の項目録音がこもりがちに録れているとき
机や椅子の音が一緒に入っていないか[2] の帯まわりの音が録音に混ざっているとき
離したことでこの項目だけ測れなくなっていないか[5]一部の項目だけ「判定できません」と出たとき

一緒に出やすい判定

こもりがちに録れている判定と同時に立つのは、正常な出力です。 一方は 200〜500 Hz と 1〜5 kHz の比、もう一方は 2〜4 kHz と 0.1〜1 kHz の比を見ており、別々の比なので同時に成立します。 ただし対処の向きが逆(離す / 寄せる)になるため、当サイトは 2 枚を出さず、試す順番を決めた 1 枚に畳んでいます。「まず 20〜25 cm まで離して測り直し、変わらなければ 15 cm まで近づけて測り直す」がその 1 枚です。 → 録音がこもりがちに録れているとき

声がマイクまで届いていない判定とは、距離の向きが正面から衝突します。 あちらは近づけて解け、こちらは離して解けます。両方が同時に出ている録音では、距離だけでは両方を満たせません。 このときは入力レベルの側(近づける)を先に取り、低い側は距離ではなく 3 手目の取り付けか 4 手目の削る手で扱います。入力が取れていない録音では、どの帯域比も信頼度が落ちるからです。 → 声がマイクまで届いていないとき

この判定で言えないこと

  • +14.0 dB という境界は、いまのところ仮の値です。 実測による較正は今後の課題として残っています。
  • 見ているのは比であって、200〜500 Hz の音量そのものではありません。 「低い音が多い」ではなく「1〜5 kHz に対して相対的に多い」が、測った内容です。
  • 「厚みのある録れ方」は、この比の言いかえです。 声そのものについての評価ではありません。
  • 見込み幅は距離を 2 倍にしたときの一般的な範囲であって、お使いのマイクでの保証値ではありません。指向性の作りによって幅は変わります。
  • 当サイトはマイクと録音の状態を測るツールです。医学的な判断や助言は行いません。→ 免責事項

もう一度測る

距離だけを変えて、もう一度測ってください。角度・取り付け・削る手はその次です。1 回に 1 つだけ変えると、どれが効いたのかが読めます。

→ いまの状態を測る

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